CASE2

事例紹介

佐々木さんとチームの皆さん

第9期 金賞「自分でできることは自分でやりたい」居場所づくりから新たな目標ができるまで

~グループホームゆう和での取組~

 自宅の取り壊しにより転居を余儀なくされ、混乱状態になった佐々木さん。緊急ショートステイを経てグループホームゆう和に入居しましたが、慣れない環境に警戒心が強く、自室にこもりがちで周囲との交流もありませんでした。プロジェクト参加を決めたのは、入居して半年ほど後。佐々木さんは少しずつ共同生活に慣れ、「自分のことは自分でやりたい」という思いが芽生えていました。チームはこの気持ちを後押ししたいと考えたのです。佐々木さんも、「参加したい」と前向きでした。
 そこで自室の掃除から、食器洗いや洗濯物たたみとお願いする家事を広げていきました。そしてお手伝いしてもらうたびに、職員は「ありがとう」「またお願いしますね」と感謝の言葉をかけました。すると声かけしなくても、自発的にやってくれるように。役割ができたことで笑顔が増え、体操やレクリエーションにも必ず参加、さらに他の利用者に積極的に声をかける、という好循環が生まれたのです。ついには「他の利用者のお世話をしたい」という新たな目標ができました。重度の方を気にかけ、髪をとかしたり、食後に口を拭いたりするなど、熱心にお世話をするようになったのです。その方が見せる笑顔が佐々木さんのみならずチームの喜びになっています。金賞を受賞して、佐々木さんは「当たり前のことをしているだけ」と謙虚ですが、「ここに来てよかった。幸せ」と、プロジェクトの記念品であるキーホルダーをいつも大切に身に着けています。

利⽤者情報

佐々木美惠子さん(87歳)

要介護度
2→1
⽇常⽣活動作(ADL)
26→29

もっと もっとしたい!×やりたい!を叶えたい!

 「できることは自分でやりたい」という気持ちはあったものの、気乗りしないことがあったようです。チームが心がけたのは無理せず、佐々木さんのペースでやってもらうこと。常に感謝の言葉を伝えていると、次第に家事が日課となりました。役割ができたことで、元看護師としての使命感が戻ったのか、「他の利用者のお世話をしたい」という新たな目標が生まれたのです。

お友達の髪をとかす佐々木さん

管理者 古尾谷純平さん

佐々木さんは「自分のことは自分でやりたい」という気持ちが強かったので、プロジェクトに参加することで佐々木さんの「やりたい」をさらに引き出せると考えました。佐々木さんも前向きでしたが、「いつも通りで大丈夫ですよ」と気楽に取り組んでもらうようにしました。お手伝いをお願いする際も声かけはしますが、決して無理強いはしないようにして、佐々木さんのペースでやってもらったことが意欲の向上につながったのだと思います。当ホームは毎回プロジェクトに参加しています。いつも行っているケアが、今回の金賞受賞という結果につながったので、これまで私たちがやってきたことが間違っていなかったと、チーム全員が手ごたえを感じ、モチベーションが向上しました。

ユニットリーダー 幸田秋さん

認知症でも自分らしく生活できる「個別ケア」を心がけています。毎月のユニットミーティングでは、ご利用者の情報を職員で共有するとともに、課題を見つけ解決法を探り、それを試行して翌月にその結果を振り返る。全利用者について、この流れを繰り返し行っています。
入居間もなかった佐々木さんには、まず食べる楽しみを提供したいと考えました。週2~3回近くの自動販売機まで行って、好きな飲料を選んで買ってもらい、おやつの時間に飲めるようにしました。あわせて、ホームが居場所になるよう役割をつくりたいと考えました。自室の掃除、食器洗いや洗濯物たたみなどをお願いしましたが、無理強いせず、洗剤を使いやすいものに替えるなどの工夫も重ね、時間をかけて習慣化。職員も毎日「ありがとう」「また夜にお願いしますねね」などと感謝の言葉をかけました。こうして職員との関係性が良好になると、居間にいる時間も増え、他利用者との交流も増えていったのです。今は玄関やエレベーターまで掃除をしてくださったり、重度の利用者さんのお世話をかいがいしくやってくださったりしています。今後も佐々木さんがやれることを続けてほしい。それがチームの目標でもあります。

利⽤者の状況や
ケアの変化

R6.3
転居による環境変化で混乱
都内に住む家族が休日に見守りをする
ゆう和の緊急ショートステイを利用後、入居
要介護2
R6.5
職員や利用者とは会話するが、自ら声をかけることは少ない
R6.10
プロジェクト参加
R6.12
家事などを職員や利用者と一緒に行う
表情が明るく笑顔の時間が長くなる
R7.2
家事が日課となる。
買い物や近隣を散歩することが増える
仲良しの利用者に声をかけ、髪をとかすなどして気にかける
R7.3
要介護1に改善
R7.5
職員や利用者に積極的に声をかける
R7.7
誕生日に千葉まで海鮮丼を食べに行く
R7.8
金の認証シール受賞