CASE

事例紹介

左から、佐脇民恵さん、黒岩郁子さん(ご家族)、黒岩二三子さん、西山大祐さん、玉田哲也さん

家族のいる住み慣れた環境での機能訓練。
高齢でも元の生活が取り戻せた

〜在宅で複数のサービスを活用した取組②〜

目標に合わせて最適なサービスを
絞り込み集中して取り組む

黒岩さんは大腿骨を骨折して入院。介護ベッドや手すりの導入など環境を整備して退院すると同時に、入院中に機能訓練を担当していた理学療法士による訪問リハビリを開始しました。娘さんがいる心強さと、住み慣れた自宅に戻れた安心感から、「自分でトイレに行きたい」という希望を口にされるようになったのです。「70代で運転免許を取った」「20年以上毎日歩いていた」という話から黒岩さんの意志の強さを感じ取った介護支援専門員は、「排泄の自立」をチームの目標に設定してプロジェクトに参加。訪問リハビリでは歩行訓練と並行して、筋力訓練や日常生活動作訓練を行うとともに、娘さんに入浴時の介助方法や日常生活での注意点を助言しました。黒岩さんも「娘に負担をかけたくない」という一心でコツコツと歩行練習に励み、 歩行器でトイレに行けたことで自信に弾みがつきました。心疾患があるため体調の波はありましたが次第に生活リズムが整い、日中はリビングで過ごし図面から起こした刺し子の布巾を完成させるまでに。茨城県まで泊まりがけで行き、念願だった夫の墓参りもでき、元どおりの生活に戻れたという手ごたえを感じています。100歳になっても今の生活を維持するという新たな目標もできました。

利⽤者情報

黑岩二三子さん(97歳)

要介護度4→1

⽇常⽣活動作(ADL)36→25

介護支援専門員 佐脇さん

黒岩さんは難聴で、 入院中はコロナ禍でご家族の面会もできなかったため、心身ともに不安定な状態が続いていました。このままでは認知機能も落ちてしまうと心配したご家族が自宅に戻すことを決意され、入院中に担当していた理学療法士に訪問リハビリをお願いすることにしました。通所リハビリも選択肢にありましたが、自宅の生活環境を充実させることが最優先だったため訪問リハビリが最適でしたし、娘さんの支援があるので他のサービスは不要だと判断したのです。住み慣れた自宅に戻ると2人の娘さんの支えもあり、「元の生活に戻りたい」と意欲を持って機能訓練に取り組めるようになりました。理学療法士も室内環境を見たうえで、娘さんや福祉用具専門相談員に的確な助言ができました。黒岩さんの明確な「やりたいこと」に向けてチームがまとまり、年齢が高くても状態が大きく改善したことに達成感でいっぱいです。(介護支援専門員 佐脇さん)

家族もチームの一員として
超高齢の黑岩さんを支えた

退院時には要介護4で心疾患も抱えていた97歳の黒岩さんを、 専門職チームと娘さん2人が団結して機能訓練や毎日の生活を支えました。機能訓練中は、耳の遠い黒岩さんのために娘さんが理学療法士の指示を伝え、手を握って安心させました。介助の仕方も細かくレクチャーを受けて実行し、疑問点は質問して解明。さらに体重や血圧を毎日記録し、それが心臓への負荷を考慮したリハビリメニューに生かされました。また黒岩さんの動きを把握した娘さんの意見を手すりの位置に反映するなど、家族ならではの観察力が状態改善に寄与しました。介護支援専門員は機能訓練のたびに理学療法士から情報収集しチームで共有。加えて福祉用具専門相談員はご家族の介護負担まで考えあわせて福祉用具を選定し、ご家族も支援しました。黒岩さんが元の生活に戻れた陰には、ご家族とチームが一体となった強力なサポートがあったのです。

利⽤者の状況や
ケアの変化

R2.4
要介護4
大腿骨骨折で入院
R2.5
車いすから固定型歩行器に
訪問リハビリを週2回開始
家族が認知機能の低下を心配し、
退院することに
R2.6
室内歩行が安定し、行動範囲が広がる
R2.7
歩行器でトイレに行けるように
R2.9
プロジェクト参加
日中はリビングで過ごし、
生活リズムが整う
R2.10
家族と茨城県まで二泊三日で墓参り
R2.12
心疾患のため体調に応じたリハビリメニューに変更
R3.4
要介護1に改善
R3.5
訪問リハビリ週1回に変更
R3.9
金の認証シール受賞
R3.11
茨城県での夫の法要に出席

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