CASE
事例紹介
左から、髙橋啓子さん、安藤龍一郎さん、湯川明子さん、吉村ヤス子さん、吉村正信さん(ご家族)、中野敦太さん、小島小夜子さん
状態に合わせた段階的な機能訓練で
意欲が向上。
効果も高まった
〜在宅で複数のサービスを活用した取組①〜
〜在宅で複数のサービスを活用した取組①〜
意欲を高める支援で新たな目標に挑戦
相乗効果でチームの士気も上がった
頸椎の⼿術を受けた吉村さん、退院時には⾞いすが必要でした。ご主⼈が第3期プロジェクトで⾦賞を受けていたことに背中を押されてプロジェクトに参加。⼿にしびれがあり家事ができなかったため、訪問介護で家事⽀援を⾏うとともに、「⾃分の⾜で歩きたい」という吉村さんの切実な願いに沿って、チームは「歩⾏リハビリをして歩けるようになる」という⽬標を設定しました。通所介護では周囲とコミュニケーションを取ってもらうようにし、通所リハビリでは、痛みを緩和する処置をしたうえで、バランス機能や筋⼒強化訓練を重点的に⾏うと、しびれが軽減し動作が安定していきました。
基礎体⼒がつくと、⾞いすの⾃⾛、歩⾏器での歩⾏が、ついには伝い歩きができるように。杖歩⾏訓練に移ると、屋外⽤歩⾏器を導⼊しました。通所介護でも、理学療法⼠が箸を使う練習から段階を踏んで歩⾏訓練へと進み、⾃主トレも促しました。アドバイスを受けて⾃宅でもトレーニングに励んだ結果、できることが増えて、「台所に⽴って簡単な調理ができるようになった」「スーパーに買い物に⾏けた」とうれしい報告が。表彰後は訪問介護員とバスに乗って娘さんの家に出かけることができました。これまで⾏っていたお孫さんの⾷事づくりを再開したいと意欲はさらに増しています。
主任介護支援専門員 髙橋さん
「歩きたい」という明確な⽬標に向けて、機能訓練を中⼼にチームがまとまりました。通所リハビリと通所介護で、痛みの軽減→バランス機能の安定→筋⼒強化と状態に合わせた機能訓練を⾏うとともに、⾃主トレなど吉村さんの意欲を⾼めるアプローチを実践しました。その結果、持ち前の前向きな気持ちを取り戻し「夫のためにも⾃分がしっかりしないと」と努⼒されるようになったのです。「歩⾏状態が介護⽀援専⾨員からフィードバックされ、理学療法⼠から歩⾏器選定の助⾔を受けるなど、チームの横のつながりが適切な福祉⽤具につながりました」と福祉⽤具専⾨相談員が指摘するように、⾞いすから歩⾏器、屋外⽤歩⾏器、2本杖へと改善状況が⽬に⾒えたことが⾃信になりました。すると「買い物に⾏きたい」「バスに乗って娘の家に⾏きたい」と次の⽬標ができ、それを達成するとさらに意欲もあがるという好循環が⽣まれたのです。(主任介護⽀援専⾨員 ⾼橋さん)
⾃分を認めてもらう場をつくる
「やればできる」⾃信につながった
通所リハビリでは機能訓練のほか、トレーナーによる集団トレーニングや⾳楽療法を実施しています。吉村さんは毎回積極的に参加され、しかも⼀番前の席で取り組んでいます。⾳楽療法では和歌や詩を詠んだり、楽器のパート別演奏、時には前に出て指揮をしたりすることもあり、⾃⼰表現することで、⾃分を認めてもらう場になっています。こうして吉村さんの居場所ができるとともに、「やればできる」という⾃信につながったことが、⾝体機能改善に⼤きな効果をもたらしました。新しい利⽤者が⼊ってこられると「私もこんなに元気になったんだから、がんばりましょうね」と励ましの⾔葉をかける場⾯も⾒られ、リハビリの効果を上げるには、こうした精神⾯の⽀援も⽋かせない要因であると実感しています。(通所リハビリ・⽀援相談員 湯川さん)
利⽤者の状況や
ケアの変化
介護⽤ベッド、⾞いすを導⼊
通所介護、訪問介護を開始
周囲とのコミュニケーションも良好
通所介護で杖歩⾏の練習